工芸王国 石川県の織物たち

実店舗「京都店」 佐野巨明

実店舗「京都店」

佐野巨明

工芸王国 石川県の織物たち

いつも京都きもの市場のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。

京都店の佐野でございます。

お正月にご挨拶ができませんでしたが、遅ればせながら、今年も何卒よろしくお願いいたします!

元旦からとても悲しいニュースが続いておりますが、皆様のご家族やご友人はご無事でしょうか。

京都店スタッフを代表して、このたびの石川県能登地方を震源とする地震により犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々及びその関係の方々に心よりお見舞いを申しあげます。

実は、昨年2月に京都店改装のため一時休業させていただいた期間中、京都店スタッフ全員で石川県で研修をさせていただきました。

その時の研修で訪れたのは、創業130年の能登上布織元 山崎麻織物工房さんでした。

能登上布は、本麻手織りの最高級の夏のお着物で、約2000年前に崇神天皇の皇女が中能登地方で機織りを教えたことが能登上布の起源だと伝えられ、無形文化財にも指定されています。

昭和最盛期には百二十軒以上あった能登上布の織元も、今ではこちらの山崎麻織物工房さんの一軒のみとなってしまったそうですが、能登上布の伝統を途絶えさせたくないという強い想いから頑張っていらっしゃいます。

こちらの工房には織子さんが8名いらっしゃいますが、糸括りから織りまで全て人の手で行っているため、年間生産反数は約200反で、絣が織り込まれる真の能登上布といわれるものは、そのうちの1割の20反ほどだそうです。

実際に織っているところを見学させていただきましたが、柄のわずかなズレも見逃さないように入念にチェックしながら、ゆっくりゆっくり慎重に織っておられ、時間がかかるのも納得でした。

品質にこだわりながらも、根気強く丁寧に地道な作業をひたすらに積み重ねてきた能登の職人さんたちの技術には頭が下がる思いです。

織子さんは20~70代まで幅広く、技術を受け継いでいける若い織子さんもいるものの、道具の老朽化が課題だとおっしゃっていました。

100年近く使い続けておられる道具は全てオーダーメイドの特注品のため、買い替えや修理には費用がかさみすぎてしまうので、昔の道具を皆さんでメンテナンスしたり工夫しながら使われていました。

こちら(↑)が、山崎麻織物工房さんで織られた能登上布でございます。

透き通るほど薄く軽い仕上がりに「蝉の羽」とも称されますが、見た目と違ってとても丈夫なので「能登上布の白絣は一生もの」と言われるそうです。

麻の持つシャリ感とひんやりとした風合いが盛夏にぴったりで、能登伝統の絣模様も時代を超えて飽きのこない気品と美しさがありますね!

※山崎麻織物工房さんのある羽咋市も地震により甚大な被害が出ておりますが、工房の皆さんは無事避難されているとご連絡いただいております。

 

さて、石川県といえば言わずと知れた工芸王国ですよね!能登上布以外にも輪島塗・山中漆器・九谷焼など古くから伝わる伝統工芸が数多くあります。

能登上布の他にも、着物好きであれば知っておきたい石川県名産の織物をご紹介したいと思います!

まずは、京都の京友禅・東京の江戸友禅と並んで「日本三大友禅」にも数えられる加賀友禅です!

加賀友禅は、その技法の創始者である宮崎友禅斎が京都で友禅染を始め、金沢で晩年を過ごしたため、その名前をとって加賀友禅と称されました。

最大の特徴は、草花や鳥など自然をモチーフとした古典的な模様を中心とした、落ち着きのある緻密で写実的な絵画調の柄にあります。

「加賀五彩」といわれる藍・黄土・草・古代紫・臙脂(えんじ)を基調とした落ち着きのある上品な色調で、美しい自然が表現されます。

中でも、加賀友禅の真骨頂ともいえる魅力の一つに、外を濃く中心を淡く染める「外ぼかし」や「虫喰い」といった技法の多用が挙げられます。

特に「虫食い」は、他の友禅産地ではあまり見られない加賀友禅特有の技法で、その名の通り虫食い跡のある葉を模様の一部として描くことで、より自然な美しさを表現しています。

加賀友禅を見かけた際には、是非この「虫食い葉(わくらば)」を探してみてください!

 

もう一つ忘れてはいけないのが、800年以上の長い歴史をもつ牛首紬ですね!

牛首紬は、白山の麓で古くから伝承され無形文化財にも指定されております。落ち着いた優美な光沢とふんわりとした軽やかさ、着るほどに馴染んでいく風合いが魅力です。

牛首紬の最大の特長は、なんといってもその丈夫さです。釘に引っ掛けても破れず釘の方が抜けてしまうほど丈夫なことから「釘抜き紬」の異名も持っています。

パリコレクションにも採用され、世界中から注目されているというのも納得ですね!優美な風合いなので、カジュアル着の中でもワンランク上の雰囲気を纏わせてくれる優秀な紬です。

 

新年最初のブログを執筆するにあたって、今回の能登半島地震を話題にするのは躊躇いましたが、ニュースで石川県知事や金沢市長の言葉を聞いて、今回のブログでは石川県産の織物を紹介させていただきました。

「このような時こそ石川に来てほしい。(中略)観光してもらうことが、(甚大な被害があった)奥能登とは違う状況で頑張っている県民を支えることになる。」(石川県 馳浩知事)

「被災地などへの配慮によって、新年会やイベントなどが中止、延期されており、地域経済への影響を憂慮している。地域における活発な経済活動が、石川県の元気を回復することにもつながる。」(金沢市 村山卓市長)

私個人ができることは少ないですが、石川県の魅力が詰まった着物や帯をたくさんの着物好きの方々にご紹介とご提案をしていきたいと思います!

 

寒さが本格的に厳しくなってまいりましたので、皆様ご体調にはくれぐれもお気をつけてお過ごしくださいませ。

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【京都店主任】 出張族から一転し、実店舗へ赴任しました!出張手当はもらえなくなったけど、今日も元気に着物という広大な宇宙を旅します。
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