いつも京都きもの市場のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
京都店の佐野でございます。
随分ご無沙汰しておりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか?
今年も祇園祭が開催されていますね!数年ぶりに外国人観光客も京都の街に溢れて、賑わいもコロナ禍以前と変わらない様子に、やっと本当に元の生活に戻って来たなぁと胸がほっこりしております。
さて、有り難いことに佐野の「知っておきたい!」シリーズに大変ご好評をいただいておりますので、今回は調子に乗って新シリーズをお送りしたいと思います!
お客様から「着物の基本中の基本で迷うことがたまにあって、今さら聞けないけど聞けないからこそ、しっかり頭に入れておきたい」というお声を聞いて、ならば僭越ながらわたくしめがブログでまとめさせていただきましょう!と思い立ち、本日に至ります。
これまでに何度かお客様からいただいたご質問を、兼好法師よろしく、そこはかとなく書き留めましたので、お暇なときに是非ご覧くださいませ。
着物クリーニングの適切な時期や頻度とは?
着慣れていらっしゃる方は当然、数着だけお持ちの方も頭の中になんとなく答えはあるとは思いますが、合っているのかしら?とふと不安に思うときもありますよね。
ズバリ結論から申し上げますと、よく着る着物は1シーズン1回が基本です!
袷シーズンが終わったら袷をまとめて、単衣シーズンが終わったら単衣をまとめて、夏物シーズンが終わったら夏物をまとめてクリーニングに・・というように、シーズンが終わってから一度すべて丸洗いして、お片付けをしてください。
では、今シーズンはあまり着なかったわ~!というお着物は皆様どうされますか?
実は、あまり着ないお着物(代表例は礼装用のお着物)こそ、たとえたった一回の着用でも必ずクリーニングに出してください!
たった一回の着用でも、着物には目に見えない汚れが付き、長い時間をかけて少しずつ変色していきます。クリーニングに出さずに数年も長期保管していると、着物のトラブルの原因になってしまいます。
数年後に久しぶりに出番が回って来て、いざたとう紙を広げてみると目も当てられないような状態になっていた・・!なんてことはよくありますので、お気を付けください。
京都きもの市場では2ヶ月に1回のペースで税込1,980円と大変なお値打ち価格で着物のクリーニングサービスを提供しております。もちろん当店で購入されていないお着物も対象です!!!
当店のクリーニングサービスについて、着物のあれこれをSNSや書籍などを通して広く配信されている「きものすなお」さんのYouTubeでも取り上げていただいておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
お値打ちクリーニングサービス提供時期は、京都店の公式サイトで宣伝しておりますので、ご利用されてみたい方は定期的にチェックしてくださいね!
名古屋帯の八寸と九寸の違いとは?
「名古屋帯の八寸と九寸って何が違うの?」「どう使い分けるの?」「見分け方が分からないわ」といったお声をよくいただく名古屋帯。
たしかに帯そのものを眺めてみると、ほとんど同じで見分けがつきませんよね、分かります!!
八寸帯と九寸帯の違いは、実はお仕立て前の帯の横幅にあります!
こちら(↑)のお写真では、八寸帯と九寸帯を重ねて平置きしてみましたが、幅の違いが一目瞭然ですね!
八寸帯は幅約31cm(約八寸)で織り上げますが、九寸は幅約34cm(約九寸)で織り上げます。
では、何故お仕立て前の名古屋帯は横幅が八寸と九寸のものが存在するのでしょうか?
九寸帯は、帯芯を入れてお仕立てしますが、その際に、仕立て上がり時の帯幅を指定することができます。一方、八寸帯は、帯芯を入れず、お太鼓になる部分の両端をかがってお仕立てするのが一般的です。
お太鼓結びをした時の形の大きさや前幅によって、着用したときの全体のバランスが異なるのが名古屋帯。
例えば、身長や体型などに比べて帯を大きく見せたくない場合は、帯の幅を少し狭く仕立てることで、着姿のバランスを若干調整することだってできます!
九寸・八寸を問わず、名古屋帯はセミフォーマルからカジュアルなシーンで合わせる帯であることは周知の事実ですが、登場頻度が多い日常使いの帯だからこそ九寸をご自身のスタイルに合わせてお仕立ていただくのもオススメです!
名古屋帯の仕立て方の種類は?
名古屋帯のお仕立てについて少し触れさせていただきましたが、名古屋帯の仕立て方には一般的に4種類あります。
図にすると分かりやすいので、素人ながら図解を作成してみました!いかがでしょうか?
形は全く違いますが、帯の締め方やアレンジの仕方は全て同じ形を作れるというのが不思議ですよね。
名古屋仕立ては、最も一般的な仕立て方で迷ったときはこちらにしていただいて間違いありません。あらかじめ胴の部分が半分になっているので、前幅の調節が苦手な方に特にオススメです。ただし、胴に巻く部分を半分に折って縫い付けるので、着付けの際に前幅の幅出しができないのが難点。
松葉仕立ては、着付け時にお太鼓に隠れる15cmくらいの手先だけをかがり、残りはお太鼓幅に仕立てます。前幅を自分で調節できるため、仕立て段階で前幅を固定したくない方には、こちらがオススメです。
東京仕立ては、一見すると袋帯と同じ形をしていますが、裏の帯芯が露出したままになります。そのため、帯地に似た色の裏芯を付けて全体をお太鼓幅で仕立てるので、前幅を自分で調節したい場合はオススメです。
名古屋仕立てや松葉仕立てと違って、袋帯のように平らに簡単にたためるのも利点ですね。
開き仕立ては、東京仕立てにシンモスなどの裏地をつけて仕立てます。ふくよかな方が帯の長さを増すときに足し布をしやすいのも、開き仕立ての特徴です。
袋帯と本袋帯の違いとは?
袋帯と本袋帯がどのように違うのか、意外と明確に言葉で説明できない方も多いのではないでしょうか。安心してください、今日から貴方も袋帯マスターです!
▼袋帯の特徴
- 裏地と表地を別々に織り、二枚の生地を袋状に縫い合わせている(裏地は無地で、表地に絵柄がついている場合が多い)
- 帯のサイズは幅約30cm/長さ約4m
- 帯の素材は主に西陣織・佐賀錦・紬・ポリエステルなど
- 留袖・訪問着から紬・小紋までフォーマルとカジュアル両方の着物に幅広く合わせられる
▼本袋帯の特徴
- 表地と裏地が一枚の生地で筒状に織られている
- 帯のサイズは幅約30cm/長さ約4m
- 帯の素材は主に唐織や佐賀錦など
- 留袖や訪問着などの格式高い着物に合わせる
少し分かりづらいかもしれませんが、こちら(↑)が袋帯の縫い目を内側から見たお写真になります。二枚の生地を縫い合わせているのが分かりますね。
一方こちら(↑)のお写真で分かるように、本袋帯の内側は生地と生地を縫い合わせたところがありません。一枚の生地が筒状に織られていることが分かりますね。
本袋帯は帯の両端に縫い目がないため、当然袋帯と比べると断然薄く、ゆえに着用すると軽くしなやかで締め心地も良いのが特徴です。
本袋帯を織る職人は、織り上がるまで文様を見渡せないので高度な熟練の技術が必要とされます。高い技術と長い製作期間で織られた本袋帯ですので、生産数量には限りがあり、高価な商品となります。
いかがでしたでしょうか?皆様にとって有用な情報はございましたでしょうか?
今回は帯を中心にご紹介しましたが、次回のブログではお着物についてもご紹介したいと思いますので、今回お楽しみいただけた方は是非次回もご覧くださいませ!
それではまた次回の更新をお楽しみに。信じられない猛暑日が続いておりますので、皆様ご体調にはくれぐれもお気をつけてお過ごしくださいませ。

実店舗「京都店」 佐野巨明

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この記事を書いた人

実店舗「京都店」
佐野巨明
【京都店主任】 出張族から一転し、実店舗へ赴任しました!出張手当はもらえなくなったけど、今日も元気に着物という広大な宇宙を旅します。