いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
ご無沙汰しております。
「京の衣」バイヤー中村です。
すごく久しぶりな気がしますが、これからは毎月ブログ書きます笑
今日は最近の仕入れの話を少し書こうかと思います。
3月22日、ちょうどWBC決勝で日本中が盛り上がっていた日に私は新潟県におりました。
そうです。数年ぶりの産地研修に出向いておりました。
車の中で大谷がトラウトから三振を取ったところを見てかから研修はスタートしました笑
※3月の新潟はまだまだ雪がありました
今回の研修では塩沢、小千谷、十日町を回って色々学ばせていただきました。
今までたくさんの商品に触れており問屋さんから話は聞いていましたが、実際に製作しているところを見たのは初めてでやはり目で見ないとちゃんと理解はできていなかったのだなと…。
塩沢では星野織物さん、十日町では根啓織物さん・勇屋織物さん・翠山さん、小千谷ではおだきんさんに伺いました。
星野さんでは主に越後上布の製作について。
苧麻の手績みを体験させていただきましたが、完成までに膨大な手間と時間が掛けられた職人技の結晶だなと思いました。
※黒の背景なので見えますが、写真を普通に撮ると細すぎて全然わかりませんでした。
十日町根啓さん勇屋さんでは昔ながらの製法を守り、絣の商品を製作されておりました。
おだきんさんでは明治から残る図案帳なども見せていただきました。小千谷縮の製法を活かして新たな作品を日々生み出しておられます。
滅多に見ることのできない寿の小千谷縮(経糸:ラミー 緯糸:手績み苧麻)も数点お持ちでした。
一点、一目惚れした伝統的工芸品に指定される小千谷縮を別注させていただきました。
翠山さんは4年前に廃業となった桐屋翠山工房から事業を引き継がれた現社長が「翠山辻ヶ花」を製作されております。
今回伺った5件のレポートは商品説明文の中に活かさせていただいておりますのでそちらをご覧くださいませ。
また新潟県研修については5月にサイト上で企画予定でございます。
ぜひお楽しみに。
最近の仕入れや今回の研修で、全国の各産地の商品がもう無くなってしまうということが商売の文句ではなく、現実になってきていると実感しました。
研修ではどのメーカーでも職人さんの高齢化が進み(70代以上の方が多い)、後継者不足、機の劣化、絹や燃料の高騰などで続けていくこと自体が難しい、本当に厳しい状況になってきています。
全国各地で同様な状況になっていると聞きます。
人気の高い大島紬ですが、2022年奄美大島紬の生産反数は3,000反を切ったそうです。
ここ20年ほどで1/10以下になってきておりいまや希少品です。
当然値段も上がってきていますが、むしろ今までが安すぎたのかもしれません。
※人気の高い白大島龍郷柄
大島紬と双璧を成す結城紬でも価格高騰が止まりません。
これは奥順さんなどが職人さんを守るためで卸値を上げており、そうしなければ職人さんがいなくなってしまうのでしょうがない現状があります。
今後も素晴らしい作品を世に残していくためにも窮余の策だったのでしょう。
※本場結城紬の蚊絣
人気の高い琉球ものも例漏れず、仕入れをしている感覚としては数年前の1.5倍程になっていると思います。
比較的若い職人さんの多い琉球の染織品ですが、いまでは需要と供給のバランスが取れていないような気がします。
問屋さんの売出しに伺うと驚くのですが、今までたくさん詰んであったものがなくなっているのです。
売れるスピードに出来上がってくるスピードが追いついていないそうです。
気に入ったお品があれば早めにお手に取ることをおすすめします。
久しぶりだったので長々と書いてしまいましたが、
まずは皆様に目に留めていただけるように良きお品を厳選しできる限りお値打ちに仕入れることが一番かと思っております。
その上で産地の現状に少しでも役に立てるようにより多くの方にご縁をいただければ良いなと。
今年度も頑張りますのでよろしくお願い致します。
※最後に何故か家の近くにいたザリガニを載せておきます。最近天気が不安定なので晴れる日が続いてほしいですね。

「京の衣」 中村浩二

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