知っておきたい!日本の伝統文様

実店舗「京都店」 佐野巨明

実店舗「京都店」

佐野巨明

知っておきたい!日本の伝統文様

いつも京都きもの市場のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。

京都店の佐野でございます。

随分ご無沙汰しておりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか?お花見は十分楽しまれましたでしょうか?

 

さて、すっかりシリーズ化しております「知っておきたい!」シリーズを今回もお送りしたいと思います!いつもご好評いただきありがとうございます!

過去にお送りした四季を感じる着物の季節柄(草花編)縁起の良い着物の吉祥文様異国情緒ただよう正倉院文様をまだご覧になっていない方は、ご興味がございましたら是非ご覧くださいませ!

今回は、古くから日本人に広く愛され続けてきた日本の伝統文様をまとめてみました。皆様よくご存じかとは思いますが、これからのお出掛けベストシーズンを前に一度整理してみるというのはいかがでしょうか?

 

伝統文様とは?

伝統文様とは、古くから伝わるデザインのうち、一つの模様を連続させて描かれる模様です。

この伝統文様は、古くから織物や工芸品、室内装飾などに用いられ、和柄といわれることもあります。

伝統文様のうち、動植物を模した模様が動植物文、直線や曲線の組み合わせで出来た模様が幾何学文と呼ばれています。

伝統文様の面白さは、由来や込められた意味などを調べてみると、日本の伝統行事や風習から生まれた歴史的背景や日本文化の奥深さが見えてくることです。

以前、縁起の良い着物の吉祥文様編でご紹介した吉祥文様は、大きな括りでは伝統文様となります。伝統文様の中でも、縁起の良い文様として用いられてきたものが吉祥文様として区別されています。

今回は、以前の吉祥文様編でご紹介した文様以外の伝統文様をたくさんご紹介したいと思います。

 

代表的な幾何学文

麻の葉(あさのは)

正六角形を規則的に繰り返し配置して描かれる文様。

植物の麻の葉に似ており、麻の葉は成長が早く、まっすぐに伸びることから、子供の健やかな成長への祈りが込められています。

 

青海波(せいがいは)

青い海の派を模して、同心の半円を連続で重ねて描かれる文様。

どこまでも穏やかな波が続く様子から、永く続く幸せや平和な暮らしへの祈りが込められています。

 

格子(こうし)

縦縞と横縞を交差させて描かれる文様。

織物の最も基本的な文様であることから、古墳時代から使われていた古い文様の一つです。

 

市松(いちまつ)/石畳(いしだたみ)

色違いの正方形を交互に敷き詰めて描かれる幾何学文様。

文様が途切れることなく続いていくことから、繁栄の意味が込められています。

 

菱(ひし)

2方向の平行線が交差してできる菱形を並べて描かれた文様。

縄文時代から使われていた古い文様で、後に水草の一種であるヒシの実に形が似ていることからこう呼ばれます。

 

紗綾形(さやがた)

「卍」を斜めに崩して四方に連続させて描かれる文様。

かつては、女性の慶事礼装の白襟にはこの文様が使われるのが当然だったそうです。

 

籠目(かごめ)

竹や籐などで編んだ籠の網の目が描かれた文様。

六芒星が連続しているようにも見える事から鬼が嫌う魔除けの文様とされています。

 

三崩し(さんくずし)

3本ずつの線を石畳のように縦横に配して描かれる文様。

檜の薄皮や竹、葦などを薄くして編んだ文様に似ている事から「網代文様」ともいわれます。

 

鱗(うろこ)

正三角形、または二等辺三角形を並べて描かれる文様。

三角の文様は古くから魔物や病を示すもので、忌み嫌うものを追い払うために古墳の壁画や装飾に描かれたことから、この文様は魔除けや厄除けの意味をもつようになりました。

 

代表的な動物文

千鳥(ちどり)

チドリ科の鳥である千鳥が群れになって飛ぶ様子を描いた文様。

昔から歌に詠まれ、広く親しまれてきた文様の一つで、雄雌そろって子育てをする千鳥にあやかって、家内安全や夫婦円満の想いも込められている。

 

蜻蛉(とんぼ)

蜻蛉を描いた文様。

蜻蛉は、害虫を取り除く貴重な益虫として、五穀豊穣の象徴とされてきました。

 

鹿の子(かのこ)

小鹿の背中の白い斑点を描いた文様。

鹿は生命力や繁殖力に優れることから、子孫繁栄の意味が込められています。

 

代表的な植物文

笠松(かさまつ)

松葉を笠のように図案化し、枝を紐のように組み合わせた文様。

松は一年中落葉せず、緑色を変えないことから「常盤の松」と呼ばれ、長寿のことを「松の齢」と呼ぶことからも不老長寿の象徴とされる。

 

松葉散らし

松の木の葉を散らした様子が図案化された文様。

松葉は落ち葉になっても二本の葉の元がしっかりと繋がり、離れ離れになることがないため、縁起の良い文様とされています。

 

竹(たけ)

竹や竹の葉が描かれた文様。

まっすぐに勢いよく伸びる姿と、鳳凰がその実を食べるという中国の故事から、古来より吉祥の象徴とされてきました。

 

桐(きり)

ゴマノハグサ科の落葉広葉樹である桐の花と葉をかたどった文様。

桐は伝統的に神聖な木とみなされ、家紋や紋章のデザインとしても数多く取り入れられてきました。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?伝統文様は親しみ深い文様ですので、既にご存じのものが多かったかと思いますが、意外と文様の名称をご存じでなかったり、込められた意味や祈りなどを初めて知れた!という方もいらっしゃるかと思います。

日本の伝統文様はお着物の基本の柄でもありますので、名称だけでなくちょっとした豆知識として知っておくのも粋かもしれません!

今回のブログも、お着物を愛していらっしゃる皆様に楽しんでいただけましたら幸いです!

それではまた次回の更新をお楽しみに!大型連休がすぐそこまで迫っております、素晴らしい連休をお過ごしください!

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【京都店主任】 出張族から一転し、実店舗へ赴任しました!出張手当はもらえなくなったけど、今日も元気に着物という広大な宇宙を旅します。

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