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京都店の佐野でございます。
春がはじまったばかりだというのに、全国各地で季節外れの真夏日があったりと、不思議なお天気がつづいていますね!
激しい気温の変化に、体調を崩されていないでしょうか??わたくしはピンピンしております!!
さて、唐突ですが、皆様はこの暑い暑い毎日にどんなお着物を着てお過ごしでしょうか?
お着物をよくご存じの皆様ですので、「5月までは袷」という基本に忠実に、30度近い真夏日にも関わらず、忍耐強く袷を着てお過ごしの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし!!!言わせてください!!!ずばり!!!ルールに縛られずご自身の感覚で自由に着てください★
伝統は大切ですが、悲しい哉、お着物を日常的に着ていた江戸時代とは気温も気候も随分変わってしまいました。
春や秋の過ごしやすい季節は瞬く間に過ぎ、今年にいたってはすでに夏に片足を突っ込んじゃって「花冷えの春?あったっけ?」という状態です(※あくまで個人の見解です)。近年の日本の夏は、35度を超える猛暑日のなんと多いこと!!
時代の移ろいに合わせて、伝統だけに縛られることなく、その年その年、その日その日の気温に合わせて、ご体調と相談しながら、皆様が一番過ごしやすいお着物を選んでいただくことが肝要だと思うのです。
それでも、お着物の基本的なルールを知識として持っていることは大切ですし、知識があるからこそ自信をもって柔軟に変えていただけると思いますので、前置きが長くなりましたが、本日はお着物と季節についてお話ししたいと思います。
着物の衣替えの基本
まず、お着物は 袷(あわせ)・単衣(ひとえ)・薄物(うすもの)の3種類に大きく分けられます。
これらの基本のお着物に合わせて、帯だけでなく、草履・鞄から小物に長襦袢まで、様々なアイテムを組み合わせて季節感を出していきます。
まさに頭のてっぺんから足の爪先まで、全身全霊で季節を表現し楽しむのが、お着物の魅力の一つですよね。
袷(あわせ)
袷は、春・秋・冬(10~5月)に着用いただけるお着物で、裏地「八掛(はっかけ)」を付けて仕立てられるため、見た目に重量感が出て、見栄えが良いので、オールシーズン着用する方もいらっしゃいます。
現代では、振袖・留袖・訪問着などの礼服を一通り揃える際はすべて袷仕立てにするのが一般的になりつつありますが、袷は着用シーズンが長いことはもちろん、見栄えのする重量感があることも理由の一つかもしれませんね。
単衣(ひとえ)
単衣は、春から夏または夏から秋へと季節の移ろう時期(6月・9月)に着用いただけるお着物で、八掛を付けず表地だけで仕立てられます。
薄物(うすもの)
薄物は、夏(7~8月)に着用いただけるお着物で、糸の密度を粗くした風通しの良い、透け感のある布地で、極限まで軽く涼やかに仕立てられます。
紗(しゃ)・絽(ろ)などが一般的に夏によく聞くお着物の種類だと思いますが、実はこれらは織り方の名前です。正確には、麻や綿などと同列ではないので注意したいですね。
帯・帯揚げの衣替えの基本
帯は、お着物よりも単純で、夏と夏以外のシーズンに着用できる帯の2種類に分けられます。
一般的には紗・絽・羅などの透け感のある布地は、夏(7~8月)だけ着用いただけます。
帯揚げも帯と同様で、夏と夏以外のシーズンに着用できる帯揚げの2種類に分けられます。
こちらも透け感がポイントで、夏以外のシーズンはちりめん・綸子(りんず)などが一般的ですが、透け感のある紗・絽などは夏(7~8月)だけ着用いただけます。
最後に
いかがでしたでしょうか?ご参考になりましたでしょうか?
基本中の基本でしたので「真新しい発見は何もなかったわ~」という方もいらっしゃるかもしれませんが、新年度が始まったばかりですので、これを機にざっとおさらいしていただければ幸いです。
いつも何を着ればいいか迷われていた方は、この知識を頭の隅に置いていただけましたら、あとは堂々と!ご自身の体調やその日の気温に合わせてお着物を選んでください。
以前のブログでもご紹介しましたが(こちら)、お着物は柄でも季節を表現できます!季節を表現するのに、生地の手助けなんて必要ないのです!
いわゆる基本ルールで季節外れといわれる生地のお着物を選んだ日は、お着物の柄や小物などで季節感を出してみてくださいね。
それではまた次回の更新をお楽しみに。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

実店舗「京都店」 佐野巨明

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この記事を書いた人

実店舗「京都店」
佐野巨明
【京都店主任】 出張族から一転し、実店舗へ赴任しました!出張手当はもらえなくなったけど、今日も元気に着物という広大な宇宙を旅します。