いつも京都きもの市場のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
京都きもの市場の商品仕入を担当しております、野瀬でございます。
早速ではございますが、前回に引き続き、今回も博多織仕入れの旅の後編をお送りします!
大倉織物さんの次に訪れたのは、昭和24年創業の老舗で、前回ご紹介した博多織求評会では内閣総理大臣賞を10回以上受賞している、筑前織物さんです。
筑前織物さんでは、毎年大好評をいただいております夏物の八寸を中心に仕入れております。
柔らかな曲線を用いたモダンな柄から博多織らしい伝統的な柄まで、幅広く手掛けていらっしゃいます。
実は、こちらの筑前織物さん、なんと!!今年の求評会でも最高賞である内閣総理大臣賞を受賞されました!!!
受賞した作品がこちら(↓)でございます。
こちらの袋帯は、「クリスタル」と称される紹巴(しょうは)織りの作品です。
紹巴織りとは、二重の経糸(たていと)で緯糸(よこいと)を包むように織り上げるため、織りあがりの凹凸がほとんどなく、滑らかで薄いのが特徴で、しなやかで軽くて、締めやすい帯であることから、着物好きな方に大変人気があります。
主に緯糸で模様を表しますが、染めと見紛う程の繊細で極め細やかな柄を表現することが多く、意匠力が問われる織物の一つとなっています。
鮮やかな色彩で、幾何学的かつモダンな要素も取り入れた模様に、さりげない金糸がエレガントさを引き出している絶妙なデザインです!
もちろん!こちらの帯も数点仕入れてまいりましたので、ご興味がございましたらお近くの店舗・展示会までお問合せくださいませ。
続いて訪れたのは、博多織の老舗中の老舗!文久元年(1861年)に創業し、なんと160年もの長い歴史をもつ西村織物さんです。
今回の訪問に際して、写真左側に写っていらっしゃる西村聡一郎社長がお出迎えくださいました!ご丁寧にありがとうございます!
さて、博多織といえば伝統的な献上柄を思い浮かべる方がほとんどかと思います。
献上柄には、長い歴史があり、江戸時代に筑前藩主であった黒田長政が幕府に毎年献上していた博多織の模様が、仏具の「独鈷(どっこ)」と「華皿」との結合紋様と中間に縞を配した定格に固定されていました。これが由来となって、人々に「献上」と称され、親しまれるようになったそうです。
西村織物さんでは、この代表的な献上柄と西洋風でモダンな柄を組み合わせた「至宝間道」という作品が定番で、西村織物さんの商品の中では一番高価なラインとなっています。
京都きもの市場でも一番売れ筋の帯として、日頃からたくさんのお客様にご愛顧いただいております!!
普段着などのカジュアルな装いから礼装などのフォーマルな装いまで、幅広く活躍するのも愛される理由の一つかもしれません。
今回もこちら(↑)のような至宝間道を何点か仕入れてまいりました!
こちら(↑)のような、西洋風でモダンな柄に振り切っている模様の帯も、配色が斬新で華があり目を引いたので、数点仕入れてまいりました!
いずれの商品も、ご興味がございましたらお近くの店舗・展示会までお問合せくださいませ。
さて、最初のご紹介で少し触れました通り、西村織物さんは今年で創業160年目に突入されました!!!
160周年記念として「総浮(そううけ)本袋帯」という至宝間道よりも更に上等な帯を限定制作されたそうで、そちらも拝見してまいりました!
博多織には、7つの伝統技法があり、総浮はそのうちの一つに数えられる代表的な技法で、先染めまたは先練りした絹糸で重ね織りし、経糸のみで柄を表現する、経錦の王様といわれる織物です。経糸が立体的にみえ、光沢感があるのが特徴です。
こちら(↑)が今回の160周年記念として制作された帯の一つで、この精密で繊細な柄を表現するには、なんと!15,000本もの経糸を使用されているそうです!!
現在、どの総浮本袋帯をいくつ発注するのか検討中でございまして、販売開始は少し先となります!乞うご期待!!
皆様、今回も最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
今年は商品仕入れの様子をブログに書き綴るという新たな試みを始めたことにより、私自身も新たな発見や学びを得る機会に恵まれました。
拙い文章で読みづらく感じられることも多々あったかと思いますが、足を運んでくださった皆様、ご意見やご感想をお寄せくださった皆様には、心から感謝しております、本当にありがとうございました。
来年もお客様に様々な情報をお届けすべく、情報収集に励んでまいりますので、引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
今年も早いもので、残すところあと僅かとなりました。
何かとお忙しいかとは存じますが、どうぞ体調にお気をつけて、皆様お健やかによいお年をお迎えください。
京都きもの市場
野瀬達朗

野瀬 達朗

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