平素より格別のご愛顧にあずかり、誠にありがとうございます。
京都きもの市場で商品仕入を担当しております野瀬と申します。
京都の老舗問屋で仕入と営業を20年経験し、京都きもの市場での商品仕入は早くも5年目となりました。
まだまだ道半ばではございますが、この道に情熱を傾けて四半世紀が経ちますので、仕入先で見て聞いて学んでまいりましたストーリーを、この場をお借りして皆様にお伝えしたいと思い、ブログ執筆を一念発起いたしました!
不慣れで、拙い文章になるかとは思いますが、ブログをきっかけに着物をもっと身近なものに感じていただければ幸いでございます…!
さて、記念すべき仕入ブログ第1弾では、信州の伊那紬をご紹介します。
10月某日、秋が深まり、りんごの収穫時期を迎える信州に、紬産地めぐりに行ってまいりました。
信州には、上田に蚕種生産の良質で莫大な産地があり、明治初期には日本の輸出量の約3分の1の蚕種がここで生産されるほど養蚕が盛んで、「蚕の国」と呼ばれてきました。
強い風が吹く風土から、蚕に害虫がつきにくく、糸の質が高かったため、信州全域で製糸業と織物業も発達していったそうです。
通商産業省(現・経済産業省)が伝統工芸品に指定した「信州紬」のうち、伊那紬は、1970年代には県内に120軒ほどの工房が生産していたそうですが、現在では長野県駒ケ根市にある1910年創業の久保田織染工業さんが唯一の織元です。
つまり、現在手に入れられる伊那紬は、こちらの工房で生産されているもの「だけ」です!
織物を織るときに使う糸は既製品を仕入れるのが一般的ですが、さすがは「蚕の国」、久保田織染工業さんは独自で製糸から行っている非常に珍しい工房です。
質の悪い糸は染料が浸透しづらいのですが、質の良い糸は草木染を行ったときに、発色が明るく深みがでます。
良質な糸を安定して生産できるこちらの工房で織り上げられる反物は、どれも本当に高いクオリティに仕上がるというわけです!
伊那紬では、糸の染色に草木を使用しているので、優しくて温かい色合いに仕上がります。
製糸~整経までの長い工程を経たのち、二階の機場で一反一反丁寧に織り上げていきます。
こうして丁寧に作り上げられる伊那紬ですが、今回買い付けたのはこちら(↓)の秋冬物2点でございます!
化学染料では絶対に出せない温かみのある自然な色合いが素敵です!
商品は11月中旬頃に販売予定ですので、ご興味がございましたらお近くの店舗・展示会までお問合せください。
さて、今回、久保田織染工業さんにお邪魔したのは、商品の仕入だけが目的ではございません…!
実は、伊那紬の夏物の制作をお願いできないか、ご相談してまいりました!
こちら(↓)は秋冬物なのですが、色合いがとても美しいので、同じような色合いで花織を入れたデザインの夏物を作っていただき、京都きもの市場で販売させていただけないか、というご相談でした。
…さて…結果やいかに…?!
来年の夏に店頭に並ぶかどうか、乞うご期待!!!
いつもお世話になっている久保田織染工業の代表 久保田治秀さんとご子息の貴之さん、今回も長時間お付き合いいただきありがとうございました!
初回ともあって、少々熱のこもった内容となってしまいました。
皆様、最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。
次回は、信州紬産地めぐりの続編となりまして、飯田紬・上田紬をご紹介いたします。
ご興味がございましたら、次回も是非足を運んでいただけますと感無量でございます…!
秋の夜長、日毎に寒くなりますので、くれぐれも風邪など召されませぬようご自愛ください。
京都きもの市場
野瀬達朗

野瀬 達朗

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